『13歳からのアート思考』を読んで
もう少しで読了するが、面白いので先に感想文を書きたい。
ジャクソン・ポロックの作品で《ナンバー1A》は、何を表現しようとしているのかが面白かった。この世の中にカメラが登場して以来、アーチストたちは「アートしかできないことは何か」の答えを探求し、自分だけの答えを見つけ、実際に表現して見せた。
ジャクソン・ポロックはどんな答えを見つけ、見せようとしたのか。
末永幸歩さんは、『13歳からのアート思考』で面白い思考実験を行うことによって、ジャクソン・ポロック《ナンバー1A》でしようとした、ひとつの答えを導き出した。
その思考実験とは、「窓」と「床」を5秒間ほど見ること。そこで何が見えたのか。ちょっと狐につままれた気分になるが、そこに見えてきたことで、意外なことが分かってきた。
まず「床」を見る。フローリングだったら木目が見える。たかが5秒間だったが集中して見ると、表面に面白い形の木目があった。また、その表面には同じ模様がひとつとしてなく、今まで気付かなかったことが、不思議に思えた。
さて、「窓」はどうだろうか。「床」のようにまずガラスの表面が見えたのか?おそらく、視線は透明なガラスを通りすぎ向側にある風景が見えた。そして、その風景で様々な「イメージ」を思い浮かべた。
絵画はまさにこの「窓」に似ているそうだ。私たちはその絵を通して、そこに描き込まれている「イメージ」を見て、様々なことを想像する。
ところが、ポロック《ナンバー1A》は「窓」でない。「床」に似ている。絵は絵の具とキャンパスでできている。当たり前すぎるほど当たり前だが、ポロックの答えは、絵を「透明な窓」だと誰も疑わなかったというよりも、イメージにしか目を向けていないという事実に、気付かさせた。
つまり、ポロック《ナンバー1A》によって、アートは「なんらかのイメージを映し出すためのもの」という役割から解放させた。ポロックの「自分なりの答え」は、まさにカメラが登場して以来の命題だった「アートしかできないことは何か」という問いに対して、私たちの目を物質としての絵そのものに意識を向けさせようとした。
だから、人は「窓」を見るだけなく、「床」を見ることでも面白さを感じた。人はもっと豊かな感性をもっていることも同時に発見させた。
ポロック《ナンバー1A》の見え方がなんだか変わってきた。
末永幸歩著『13歳からのアート思考』の、CLASS 5 私たちの目には「なに」が見えている?
--「窓」から「床」へを僕なりにまとめてみた。
繰り返しになるが、この書籍では「アートしかできないことは何か」という問いに対して、
アンリ・マティス《緑のすじのあるマティス婦人の肖像画》
パブロ・ピカソ《アビニョンの娘たち》
ワシリー・カンディンスキー《コンポジションⅦ》
マルセル・デュシャン《Fountain》
アーチストたちが、どんな答えを見つけ、見せようとしたのか。
『13歳からのアート思考』は、様々な絵の見方のひとつとしての、答えを紹介している。
この書籍はホント面白い。再度読み直したい。